一章 双子

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    「ふぅ、お腹いっぱい…」 「朝からよく食べたね、シェイラ」  テーブルで脱力している姉の姿に、シェイルは空いたお皿を片付けながら笑った。 「うん!シェイルのご飯は美味しいから」 「お世辞を言ったって何も出ないよ!」  ほんのりと頬を朱に染めて、食器を下げに台所へ向かう。  それが、照れ隠しの意味を含んでいる事を知っているシェイラは、笑って彼の後についた。 「何?」 少し怒り口調のシェイル。 「久しぶりに、私がお茶を淹れようと思って」 「えっ、本当に!」  大きく頷くと途端に、シェイルが顔を輝かせる。 「やった!シェイラ、料理はイマイチだけどお茶はとても美味しいんだよね!」 「料理はイマイチって…。そんなこと言うとお茶淹ないよ!?」  むくれて小さく口を尖らせる姉に、シェイルは慌てて謝る。  その素直な反応が可笑しくて、シェイラは笑い声をあげた。
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