一章 双子

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「はい、どうぞ。今日は、シェイルの好きな睡蓮のお茶にしたの」  透明なコップに、ほんのり青いお茶を注いで、差し出す。  ちらほら浮かんでいる花びらは、本物の睡蓮。  お茶が青いのは、ブレンドされた矢車菊のせいだ。  一口飲むと、爽やかで、どこか甘い柔らかな花の香が広がる。 「美味しい。同じお茶なのに、何でこんなにも差がでるんだろう?」  感嘆の言葉と共に吐き出された疑問に、シェイラは首を傾げた。 「何でだろう?でも…」  クスッと笑って、シェイラは続ける。 「私は、シェイルの淹れたお茶、好きだよ」  ストレートな誉め言葉に、再びシェイルの顔が赤くなる。 「…ほ、ほらっ。いいから髪を結おう。そんな頭じゃ、天使長に会いに行けないよ。今、櫛持ってくるから、シェイラは着替えて来て!」  焦って立ち上がり、そそくさと去る姿を見てシェイラはもう一度、声を上げて笑った。
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