20人が本棚に入れています
本棚に追加
生まれ持った力が災いを招くと言うのなら―。
封印を。
「っ!!」
眩い光が辺りを包み、全てを白に染めてゆく。
ガゼットはあまりの眩しさに目を瞑った。
しばらくして、聞こえてきた子供の泣き声に、ガゼットはゆっくりと瞼を開いた。
そして。
「シェリルっ!」
宝剣を放り投げて、ぐったりと布団に倒れ伏している愛娘に急いで駆け寄る。
「しっかりしろ!」
抱き起こすと、固く閉ざされた瞼が微かに開いた。
みるみるうちに、涙が盛り上がる。
「…おねが、い…、子供達を…」
その続きを、彼女が言うことはなかった。
完全に光を失った瞳から、涙が二滴零れ落ちる。
その瞬間、
カチ、カチンッ。
床に何かあたる音が聞こえ、ガゼットは視線を下に移した。
シェリルの直ぐ側に光る物を見つけ、拾い上げる。
「これはっ!」
天界の中でも、強い護りの力を持つ石“涙晶石”。
強く純粋な想いが込められた涙が、結晶となったもの。
「…そんなに、思っているのか?」
一族を、消滅させるかも知れない、預言の子を。
最初のコメントを投稿しよう!