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俺が知る限り、坂崎が真剣に付き合ったのは、
高校３年の時、
結子という女だけだ。

結子は、俺と坂崎と同じクラスで、
クラス委員とかするしっかり者の女の子だった。

付き合ってる、という話は坂崎から直接聞いた。
そして、別れた、ということも。
ふられたのだな、と何となくその言葉から感じられた。

俺は、別れた、と言う坂崎に

「そっか。結子は男見る目ないな。
お前みたいないいヤツ」
と努めて明るく言った。

坂崎は
うつむいて
「そんなん言ってくれんの、ナオだけだ」
と顔を赤くして小さな声で言った。
涙をこらえて、震えてた。

その時以来、坂崎は
恋愛の話を一切しなくなった。

まあ、恋愛らしい恋愛もしてない感じだったし、

暇つぶし程度に遊んでるようにしか見えなかった。