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バイトは絶対ムリ!という坂崎に 「でも、気分転換になって結構いいよ? 毎日毎日、実験とパソコンばっかだろ? そのうち痔になりそ」 と言うと 「そーかなあ」 とふーっと煙をはいた。 「ゼミも男ばっかだし、 花っつーか、うるおいのない生活してると 心が荒むわ」 「それはお前だけだろ」 「ナオはほんと、オンナっ気ないもんな」 「うるせーよ。 俺はダチの方がいいの」 坂崎は、くる、と俺の方を向いた。 「俺も、友情には厚い男だぜ? 女かお前か、っつったら 迷うことなくお前を選ぶもんね」 「…」 一瞬、息がとまった。 これは冗談だ。 タワゴトだ。 「キモチワルイこと言うなよ」 「え?! お前だって、俺を選ぶだろ? 俺、お前なら嫁にもらってもいいと思ってんのに」 「ばーか」 坂崎の笑えないジョークを かろうじて笑いとばした。 あいつは、この、 初夏の太陽みたいに、 さわやかに笑った。 ばーか。 …冗談、キツイよ。
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