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「予想はしてたけど、
こんなに大変だとは思わなかった」
坂崎は缶ビールを開けると
ぐいっと一気にのみほした。
「毎日毎日、学校、家、学校、家…
の往復…
延々と続くのか…」
「俺だって、似たようなもんだよ。
そんな呪いみたいなこと言うなって」
坂崎は、はっと俺を見ると
「呪いか…まさに呪いだよ…」
と缶ビールを握りしめてぶつぶつ言ってた。
そんな坂崎を見て、俺はなんとなく愛しいというか、
ぎゅっと抱きしめたい衝動にかられた。
いかん、いかん、
ナニ考えてんだ。
いつもよりピッチの早い坂崎は小1時間もすると
酔いつぶれて
その場フローリングの上で
ぐったりと横になっていた。
「おい、潰れるの、はやいぞ~」
と声をかけても
「う~ん…」
とうなって、起き上がろうとしない。
「どうしたんだよ、今日は」
「…お前の方こそ、どうしたんだよ…?」
目を閉じたまま彼が言う。
「え?」
「だから、お前の方こそどしたんよ…?
この前会った時、
なんか元気ないな、と思ってさ…」
「そりゃ、いろいろと大変だし…
お前もそうだろ?」
「そうだけど、
…本当にそれだけか?」
坂崎の鋭い問いに、ぎくり、とする。
「そだよ…、
それ以外に、何があるんだよ」
「そんならいいけど…
俺、あんま頼りにならんけど、
何かあったら言えよ?
俺とお前の仲じゃんか…」
坂崎はそう言ったきり、
そのまま眠ってしまった
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