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4限目まで、あと13分。
一服しよ、と思い、俺は煙草に火をつけた。
紫煙がゆっくり立ち上るのをぼんやりと眺めていると、
ポケットの携帯が震えた。
メールだ。
「さっき言い忘れたけど、お前今日バイトないだろ?
晩メシ食いに行こうぜ」
坂崎からのメールに、俺は「了解」と簡単に返事をして、
再び携帯をポケットの中にしまった。
アイツ、俺を誘ってくるなんて珍しいな、と思いながら。
高校でも、坂崎はやたらとモテる奴だったが、
大学に入ってからは、あいつの周りにはいつも女がいた。
それなのに、特定の相手を作らないで、
適当に付き合ってるみたいだった。
そんなだから、いつしか俺はあいつを誘わなくなった。
デートで忙しいことくらいわかってたし。
最近は社会科のみのりちゃんとやらと付き合ってる?らしく
あんまりつるんでなかった。
あいつの口からは、そういう色ゴトは語らないから、
詳しくは知らないけど。
昔は、ずっと俺と一緒にいたのになあ。
なんて考えて、俺は
「何考えてんだ」
とその思考を打ち消した。
あほか、俺は。
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