1

3/34

319人が本棚に入れています
本棚に追加
/119ページ
4限目まで、あと13分。 一服しよ、と思い、俺は煙草に火をつけた。 紫煙がゆっくり立ち上るのをぼんやりと眺めていると、 ポケットの携帯が震えた。 メールだ。 「さっき言い忘れたけど、お前今日バイトないだろ? 晩メシ食いに行こうぜ」 坂崎からのメールに、俺は「了解」と簡単に返事をして、 再び携帯をポケットの中にしまった。 アイツ、俺を誘ってくるなんて珍しいな、と思いながら。 高校でも、坂崎はやたらとモテる奴だったが、 大学に入ってからは、あいつの周りにはいつも女がいた。 それなのに、特定の相手を作らないで、 適当に付き合ってるみたいだった。 そんなだから、いつしか俺はあいつを誘わなくなった。 デートで忙しいことくらいわかってたし。 最近は社会科のみのりちゃんとやらと付き合ってる?らしく あんまりつるんでなかった。 あいつの口からは、そういう色ゴトは語らないから、 詳しくは知らないけど。 昔は、ずっと俺と一緒にいたのになあ。 なんて考えて、俺は 「何考えてんだ」 とその思考を打ち消した。 あほか、俺は。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

319人が本棚に入れています
本棚に追加