319人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が正門に着くと、坂崎はすでに到着していて、俺を見つけると
「おう」と声をかけた。
「ドコ行くん?」
「ツレにコッコ亭の5千円券もらったんだわ。
だからコッコ亭行こうぜ」
コッコ亭は駅前にある焼き鳥屋だ。
久しく行ってない。
俺達は大学から10分ほど歩く駅まで、肩を並べて歩きだした。
昔は俺の方が背が高かったけど
いつの間にか坂崎に追い抜かされた。
185センチの長身で、スラッとした坂崎は
ちょっと童顔で、眼鏡のよく似合う奴だった。
「コッコ亭なんて、めちゃ久しぶり。
…半年くらい?
行ってねーよ」
俺がそう言うと
「俺は時々行くよ」
と坂崎は5千円券を取り出した。
「ソレ、俺に使ってもいいん?」
「え、なんで?」
坂崎は不思議そうに俺を見た。
「え…だから…」
口ごもった俺は、
うつむいて
「だから、彼女とかと行った方が…」
最初のコメントを投稿しよう!