1

7/34
前へ
/119ページ
次へ
注文した焼き鳥を食べながら 俺達はたわいもない話を続けた。 でも、俺も坂崎も、女の話だけはしない。 普通なら、そういう話もするんだろうけど、 それを避けているかのように、 俺達は恋愛の話はしなかった。 でも、いまさらソレを「不自然」には思わないし、 くだらない、たわいもない話をするのは とても楽しかった。 坂崎をいる空間は、 心地よかった。 さあ、そろそろ帰ろうか、という時に 坂崎の携帯がなった。 「ああ、今外に出てんだ。 うん、今日はムリ。 ごめんね」 そう言って電話を切った彼に俺はあせって、 「俺ならいいよ? 彼女だろ?」 と言うと 「いや、いいんだよ。 そろそろうざいなーと思い始めてたとこだし」 と事もなげに言った。 「でも…」 「いいんだって。 女なんか、どーだっていいんだって」 「…そんなこと、言うなよ。 彼女がかわいそうだろ」 と俺が言うと 坂崎は笑って 「ナオはいい奴だなあ、ホント」 と言って、店を出た。
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

319人が本棚に入れています
本棚に追加