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「……いないんなら、死んでみる?癌とか」
「今じゃ、そんなの、できない」
「出来るよ。私なら」
「冗談、そんなの――」
「だって、私」
手配書を見せると、固まった。
「――犯罪者だから。でもね、私は………」
今までの事を話した。
町の事。
「親なんて呼び方じゃない」
「?」
「女なら母さん。男なら父さんって呼ぶ」
実験の事。
「俺、桜っていう花の名前。お前は、種。それがお前だ」
母さん、母さん。
呼びたかった、呼びたいよ。
あの時に、呼んでいたら。
どんなかおをしてくれましたか。
一緒に逃げてくれる人を見つけました。
一緒に逃げてくれる人を。
名前は、桜。
私は、種。
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