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――こんな、世界は要らない。
桜(さくら)は思った。
今年で二十歳になる。
静かに瞼が開く。
その足元の下には、土筆のように並んでいる高層ビル。
灰色の道路と行き交う車と人。
最後の服がパジャマなんて。
ウケを狙ったわけじゃない。
嫌だな――痛いのはと考えたけど、今の世の中では、自殺が一番簡単。
そして、重罪だよな。
今の世界は、キリスト教が影響が大きい。
自殺をした者は、犯罪者扱い。
家族は、一生罰金。
――ああ、要らない世界だ。
ゆっくりと、前に足を踏み出した。
最後の一歩を。
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