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一番思い出したくないのは、あの町と日々だけ。
すがり付かれた、育て親。
逃げて、今すぐに
町から逃げなさい。
どうして?
お前には、人としてまだ生きられるからよ
私が産まれたのは、小さな湊町。
そして、世界に売られた。
誰が憎いとか、殺したいとか。
幸せになりたいとか。
そんなの考える前に、産まれたときから、もう、世界の物。
そして、世界から消されて、この世には存在しないとされていた。
町には煙突があったの。
とても、とても高い煙突だって覚えてる。
煙突からはね。
定期的に放射されていた細かい煙と光。
育ての親は、私を家の奥に置いて行って、煙突から出る煙と光を受ける為に道に出て行く。
でも、でも。
窓越しに見るだけなら、綺麗なの。
物凄く。多分、幻想的とか言うのは、ああいうのを指すと思う。
そして、怖いの。
家に戻ると、親は、顔が、身体が真っ赤。目も。
息がすごく荒い。
ここはね、
もう、世界から消されているの。
私が生活が一人でできるようになると、親は触らなくなったし、触らせてくれなくなった。
あと、奥から出られなくなった。
親に嫌われているって、思った。
わたしと親は、違ってたし。
親は、真っ黒で。私は、白だったし。
湊町の人たちも同じだったから。
違うわたしを見せたくないだって思った。
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