裂ける

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一気に俺は捲くし立てた。 医学クイズは俺の得意分野だ。 国主催の医学千問クイズである、医師国家試験をパスしたばっかりなんだから、ちょろすぎる問題だ。 簡潔かどうかはかなり怪しいが。 「はい、大正解。医学生でも病理医の存在を三割しか知らないから、ついね」 「いえ、これぐらいは一般医学知識です。それに俺は研修医(・)ですよ」 「こないだまで、医学生だったでしょ」 「そりゃ、そうですけど」 「ところで君、童貞(チェリー)?」 「はぁ?何ですかいきなり?」 「津田クン、桑田先生は痴女(ニンフォマニア)だからな。逆レイプの常習犯」 と出水がのほほんと言う。 「ホントですか、それ」 思わず素っ頓狂な声を出してしまった。 「ホントだよ。君の同級生の整形外科(オルト)の高橋先生犯されかけたんだから」 出水は慣れているのか、平然と言ってのける。 「ホントそんなことを?」 と容疑者に聞くと、まるで嬉しそうに、笑顔で答えた。 「いや、最近飢えてて」 高校生の男子じゃあるまい。 飢えると言うのはなんだ。 俺が思うのもなんだが、この人は変態だ。 「どうせ、俺は童貞(チェリー)ですよ」 ニッコリと不敵な笑みを桑田は浮かべる。 「奪っていい?」 俺は喜色満面で切り返す。 「どうぞ、どうぞ。願っても無い事です」
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