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俺たちは第一内科医局についた。
プレートには臓器総合内科学講座(内分泌代謝内科・消化器内科。
第一内科医局)とある。
仰々しく長ったらしい講座名だ。
ノックして入る。
初老の教授が待ち構えていた。
「研修医諸君、ようこそ第一内科へ。
すべての臨床医学は内科学に通じる。
例え外科医になっても内科知識は必ず役立つ。
その内科学のエッセッンスを研修中少しでも、吸収してほしい。
では、各ネーベン(研修医)につく、オーベン(指導医)を紹介しよう。
岸田先生は相川(あいかわ)助教授、津田先生は出水(でみず)講師。
上林先生、谷村先生は金子先生、安川先生は野田講師だ。以上解散」
医局員はざっと20人はいるのではないか?
出水を俺は探す。
出水と白衣の名札に書かれた医師を見つけたのは、五分後の事だった。
「出水先生ですか?」
「そうだが?」
「あの研修医の津田です。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
ややずんぐりむっくりした体形はやさしい内科医らしく、どうやら人柄は良さそうだ。
「先生は何がご専門ですか?」
「消化器内科だね。特に膵臓癌の早期診断法と早期胃癌への内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)」
「EMRって最先端技術じゃないですか。すごいですね」
「そんなことないよ。手技自体は楽だし」
「膵臓癌の早期診断は?」
「CTやMRCP(MR胆管膵管撮影。胆管や膵管にフォーカスを当てたMRI)で診断出来なかったら、ERCP(内視鏡的逆行性膵管造影)をして、画像所見を診る。
更に膵液を吸引して、病理医に細胞診(顕微鏡で細胞を診る検査)をしてもらう」
「でも、膵液吸引細胞診って難しいんじゃ?」
「造影剤の混入やガン細胞と正常細胞の見分けがすごくむずかしい。
でも僕には天才病理医がいるから大丈夫。画像診断もエキスパートの放射線科医が加わってくれるから」
「津田クンは何科志望?」
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