引っ越し

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「そういえば、恵子の娘もあの病院に入院しているんだったな」 「えっ!」行人は必要以上に驚いた。 「そうよ。たしか、行人君の1つ下だったはずよ」 「えぇー!」そんな話親父からも聞かされてなかったから驚きを隠せなかった。 「もうすぐつくはずよ」 とか言っている内に着いてしまうし。 駅を出てから約20分程で着いた。 病院に入って、3階の103号室に着いた中ではじいさんが、大量のお菓子(煎餅)を食べていた。 相変わらずだなぁ~「こんちは、じいさん」 「おぉ、やっときたか。それで土産はどこじゃ?」 「いきなりそっちかよ!」 いつもこんな感じである。 「いいかげん食べるの止めないと高血圧か何かで死ぬぞ」 「かっかっかっか、わしはまだ、15年は生きるぞ」 早く死ね。今すぐ死ね。 「今、死ねと思ったじゃろ」 「また人の心を読んだだろ」 「はて、何の話やら」実は、このじいさんは人の心を読めるのである。 「まぁいいや、俺は先に戻ってるよ」 「わかった」 「明日も来るんじゃぞ~」 やなこった。 といっても少し中庭に出てみたいから、出てみよう。 中庭に出て、少し歩いてみた。すると、中央の方の椅子に誰かが座っているのが見えた。だれだろ。「誰?」 バサバサと音をたてて飛んでいった。 そこには、長期入院していることを思わせる左右に結んでいる長い髪。そして、なぜかネコ柄のパジャマ。行人は可愛さについ、見とれてしまった。 「あなた………誰?」小さな少女が首を傾げながら言った。 「僕は行人」 「私は瑠璃」 行人は瑠璃と目があい、優しく微笑まれた。か、可愛い。 「あなた…年は?」 「14歳だけど……君は?」 「私は13歳」 「へぇ~1つ下なんだ………………」 もう少し年下だと思った。 「あっ!もう戻らないとじゃあね」 「あぁ」軽い返事しかできなかった。 行人は、瑠璃が病棟に戻るのをボーっと見ていた。すると、瑠璃がクルッとこちらを向き、 「明日も来る?」 「午後から来るよ」 「私…………待ってるね」 彼女が病棟に戻っていくのを見送り車に戻って行った。
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