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日付が変わる。
町からそれほど離れていない森の中にその屋敷はあった。
それがさる大企業の幹部の持ち物であることは町の人達の間ではよく知られた話だ。
そんな屋敷の書斎、住人達が皆夢の中にいるであろう時間に一人懐中電灯を片手に部屋を物色する影があった。
月明かりに照らされながら、ジャケットを羽織った影がそのツンツンした髪を揺らしながら壁に掛けられた一枚の絵の前に立つ。
有名な画家が描いたのだろう。
値段も品格も年収数千万の男の屋敷を飾るにふさわしい作品だ。
影は慎重にその絵を壁から外すと部屋にあったソファーに放り投げた。
今は芸術を理解する気はないのだろう。
影の視線は壁の絵の掛かっていた部分に向けられる。
そこにあるのはテンキータイプの耐火金庫。
あまりにお約束すぎて影の口元がつり上がる。
さっそく相棒の調べた暗証番号を入力する。
ピッ、ピッ、ピ-!
(……ビンゴ!)
優秀な相棒に心の中で感謝しつつ、金庫の中にあったクリアファイルを取り出す。
口で懐中電灯をくわえながらファイルの中身を一通り確認した影は、それをバックに突っ込み再び金庫に視線を戻した。
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