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「──……きな……い……──」
「!!」
その時だ。
耳元で誰かの声がした。
かすかな声。
しかし、確かに聞こえた……君の声だ。
「……きなさい……」
「……ソ……ティア……」
そうだ、思い出した……君の名前……。
その瞬間、目の前に一筋の光が現れた。
その光はまとわりついていた闇を封じ、葬ってくれ闇の代わりに自分を温かく包み込んでくれた。
行かなければ。
俺は体に力を入れて、フラつく体を起こし立ち上がった。
光はどんどんと大きくなっていって全体を支配する。
闇しかなかった世界が一変、光の支配する世界へと変貌を遂げたのだ。
「……おきなさい……」
再び君の声が聞こえた。
分かってるさ……今行くから。
震える体を動かして、ゆっくりと光に向かって歩いていく。
もう少し……もう少しで君に……君と……。
「ソティアッ」
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