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このまま倒れていても殺されるだけだ。
グッと力を入れて立ち上がるも、それがやっとで動くことができない。
やばい……このままじゃ……動けっ。
「……そろそろ時間だな……」
クレイドはフゥッと息を吐き、右手にフィルを集中させる。
すると手の平からブワッと炎が放出され腕全体が包まれる。
──殺る気だ──
「ちくしょっ……」
声を振り絞っても体が重くて動かない。
ついにクレイドはビーに向かって突進し始めた。
ダメだ……終わりか……。
そう思われた、その時っ。
「はーい。おいたは、そこまでー」
急にクレイドとビーの間にヴィーナが現れたではないか。
「っ!!」
クレイドはいくらか反応したが、そのままヴィーナごと炎をぶつけようとする。
しかし、その炎に包まれた右手をガッと掴み、流れに任せてヴィーナはグイッと引っ張る。
「なっ」
クレイドはそのまま宙に浮く形となり、ヴィーナはそれを地面に押し付け仰向けにさせて、その額にトンッと人差し指と中指を置いた。
その瞬間、クレイドはビクッと反応して動かなくなる。
だんだん目が霞んできて……白いモヤが立ちこめたかと思ったら……再び霧が晴れてきて……。
「……っ」
クレイドは目を覚ました。
「元に戻ったようね」
ヴィーナはクレイドの上からどき、スッと立ち上がった。
ビーは助かった、とばかりにその場に座り込んでしまう。
何が起こったんだ……。
クレイドは状況を把握するために体を起こし、ヴィーナを見る。
見知らぬ女性が一人、自分の前に立っている。
一体、何があったのか……とりあえず聞いてみなければ。
「あの……あなたは一体ぃいっ!?」
すると急にヴィーナがクレイドの顔をガッと掴み、マジマジと見始めた。
クレイドは抵抗する間もなく、彼女に頭を押さえられ動けなくなる。
「あの……」
何がなんだか分からない。
必死に押さえ付けられている顔の筋肉を動かしてクレイドは呟く。
するとヴィーナは突然ニコーッと笑った。
「やっぱり合格ー」
「はい?」
何のことだかさっぱりだ。
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