第20章~常闇のゆりかご~

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最初の街アクオクレイトに到着した夜、ソティアが皆に話をした、あの地図にも載っていない隠された村。 ソティアが生まれ、そして死んでいった場所だ。 クレイドは窓まで寄って、外の様子を眺めた。 木がうっそうと生い茂り、舗装されたような道は見受けられない。 全てが木造でできており、まさにジャングルの中の民族村といったかんじ。 村の奥には巨大な火山も見えた。 あの山なら知ってる。 南国ヒューデンを代表する巨大火山のセムロ火山だ。 「……あ」 しばらく外を眺めていると、この建物の下でエーフィとラペットが話をしているのを見つけた。 相も変わらずペチャクチャと話をしながら互いに笑っていた。 「声を掛けたって今のあなたじゃ見えないし聞こえない」 身を乗り出すクレイドの横に来て、ソティアが言う。 まぁ、そうだろう。 なんたって半透明なんだから。 「他の皆もここに居るのか?」 皆のことが気になってクレイドが聞く。 するとソティアは首を横に振った。 「全員じゃない。セドとビーとかいう人。あと……コア・アスレッドもあなたの回復を待つため、リンディレスカに残っている」 「そうなんだ」 セドとコアがやっと追い付いてくれたことを知って素直に喜ぶ。 するとソティアはさっさと話を変えようと口を開いた。 「今のうちに今後のことを言っておくわね。私達は今からここで用事を済ませて港町のホーンハイムに向かい、そのまま海を渡って西国セイデルの首都ネーテルフィスまで行く。 あなたは目を覚ましたら、そのことを他の三人に伝えて私達を追ってきて。結局は私達、二人が揃わなければ世界は救われないのだから。バラバラでは仕方ない」 「分かった……それで用事って?何をするんだ?」 ソティアの言ったことを理解して、クレイドは彼女を見る。
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