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「……ィア……ソティアッ」
「……っ」
声が聞こえたことに反応し、ソティアはパッと目を開けて勢い良く起き上がった。
彼女を起こしに来ていたエーフィは突然の反応にびっくり仰天といったかんじで体をそらせ、パチクリとする。
「……」
ここは……グレアノルムの村の建物の中。
そうか……あの儀式の後、疲労が激しかったから、そのまま休ませてもらうことになって……。
そう思い出して無言のままソティアはベッドから起き上がりエーフィを見た。
エーフィは何も言わずこちらを睨んでいるソティアを見て、ここ……喋るとこ?と多少気兼ねしながら、とにかく口を開いた。
「もう用事は済んだのかな……元帥がそろそろ出発したいって言ってるんだけど」
目を横にやって話しにくそうにするエーフィ。
実際、話しにくいのである。
「……もう大丈夫よ。出発しましょう」
そういうことか……とソティアは木造の床をギシギシ言わせながら出口へと向かった。
エーフィも後ろから付いてくる。
「……他の人達は」
エーフィしか見当たらない気がしてソティアは聞いてみる。
それだけでもエーフィは話し掛けてきた、といちいち反応する。
それが彼女を無口にさせる原因だったりする。
二人は扉を開けて階段を下り、民族村のようなグレアノルムの町に出た。
ソティアを見つけて何人かの村人達がお辞儀をする。
「ああ、他の皆はもう陸艦で待機してると思うよ……それよりさ、さっきから思ってたんだけど耳に付けてるピアス……片方なくない?なくしたとか?」
報告だけで済ませば良いものをエーフィはソティアの前に回り込んで顔をマジマジと眺める。
ソティアはピタリと立ち止まり、いかにも迷惑だと言わんばかりの顔をして目をそらした。
「……あなたには関係ない」
そう言ってエーフィの横を通り過ぎていく。
そーですかーとブツブツ後ろで文句を言いながらエーフィは後から付いてくる。
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