姫!親友里奈決意!の巻

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「んじゃあ行くよ~バンビちゃん」 「ちょ、バンビって言うな!」 「里奈、全部真ん中に真っ直ぐだから、ミット動かさなくていいよ」 「OK!」 「ちょ、ぜぇ~~~ったい、打ってやるんだから」 美鹿子が里奈を睨んだ。 葉月はゆっくりとしたモーションで、大きく振りかぶる。 永理を瀕死にした、あの殺人ボールが、あの日以来拝めるのかと、 ナインはドキドキしながら、葉月の投球を待った。 葉月の手を放れたボールが、すごい勢いで、飛んでくる。 美鹿子は本気で焦った。 慌ててスイングを開始するが、美鹿子が振り終わった時には、 もうとっくの昔に、葉月の投げたボールは、里奈のミットに納まっていた。 たった一球見ただけで、ナインには充分だった。 女子硬式野球部設立以来、毎年予選敗退を繰り返してきた泉城高校に、 初めての決勝トーナメント進出という、希望の光が見えたのである。 「すごぉ~~~い」 「感動~」 「すごいよ! はづきょん」 「ちょ、まだ一球だけよ」 美鹿子がみんなの方に向かって叫んだ。 「あ~無理、無理、どうせ打てるわけないんだから」 聖美が笑いながら言う。 「そんなことないわよ!」 美鹿子は口を尖らせたけれど、もちろん一球見ただけで、絶対に打てない自信があった。
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