1703人が本棚に入れています
本棚に追加
/409ページ
大会の開催される兵庫県に向かう前日、
里奈は久しぶりに女子部の練習に参加した。
「監督、何とか大会に間に合いました」
「そうかぁ~、いやぁ~よく頑張ってくれたな」
ペコリと頭を下げた里奈に、監督の平尾は笑顔で嬉しそうに答えた。
「よし、これで今年こそは、決勝トーナメントが見えてきたな」
「はい。っていうか、私は受けるだけなんで、葉月次第ですけど……」
「ねぇねぇ、はづきょんの全力の球、打ってみたいんだけど」
チームの四番打者、濱村美鹿子が目を輝かせる。
「うん、いーよ。バンビちゃん」
「ちょ、はづきょん。そのバンビちゃんって言うのを、止めてっていつも言ってるでしょ!」
「いいじゃん、だって美しい鹿の子って言う名前なんだから、仕方ないじゃん」
葉月はニヤニヤしながらからかう。
「もう! 知らない!」
美鹿子がふくれて、周りのみんながニヤニヤ笑った。
「まぁ、確かに美鹿子は、バンビって柄じゃないもんね」
聖美がケラケラ笑う。
「うるさいわね! はづきょん、さっさとマウンドに上がんなさい」
美鹿子は大声で怒鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!