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練習が終わって、夕方里奈は、祐介の自宅へと出かけた。
ただ、お礼がしたかったのだ。
実は、ほとんど祐介は、役にたっていなかったのだが、
里奈にとっては、練習時間外にも付き合ってくれた祐介に、どうしても感謝の言葉を伝えたかったのだ。
インターホンを鳴らすと、祐介が出てきた。
いつもの自主練習と勘違いしたのだろう、グローブを持っている。
「ちょっと早くねぇ? 俺まだ晩飯食ってねぇ~し」
「いや、違うの」
「え? 違うって何が?」
「だからね……」
「ん?」
「明日兵庫県に行くから、今日はもういいの」
「ああ、そうなんだ。頑張ってこいよ」
「うん」
祐介に笑顔で言われて、里奈はドキッとした。
「あのさぁ……」
「ん?」
「やっぱりちょっとだけ、付き合ってくれる?」
「え……うん。いいよ」
里奈に言われて、祐介は笑顔で頷いた。
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