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里奈は祐介のすぐ目の前まで来て、じっと祐介を見つめた。
(な……何?)
祐介は、一瞬たじろいで、その目を見つめ返す。
「違うよ。祐介のおかげだよ」
「里……奈……」
祐介の言葉は遮られた。里奈の唇によって……
(な! な! 何ぃいいいい!)
祐介は何が起きているのか、全く理解できずにパニくってしまった。
唇を離して、里奈が上目遣いに見上げる。
(ぎゃぁあああああああす! カワイイ!)
生まれて初めて、里奈のことをカワイイと思った。
「な……な、何で?」
焦る祐介の顔を見て、里奈はクスッと笑う。
「好きだからに決まってるじゃん」
「いや、あの、おれ、あれ、その……」
「分かってるよ、祐介。葉月が好きなんでしょ」
「ぇえええええ! 何で分かる!?」
「そんなの、あんたのことが好きだからに決まってるじゃん」
「えっ!」
「あはは、バ~カ。そうじゃなくてもバレバレだってば。クラスの全員が知ってるよ」
「えっ!? マジで……?」
「当の葉月もね」
里奈がニヤッと笑って、祐介はひきつった。
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