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葉月はこの回の打者三人を、すべてど真ん中のストレート、
なんと9球で、三者連続三振に打ち取って、華々しく公式戦デビューを果たした。
さらに快投を続け、打者一巡となる3イニングも、
すべて三振に抑えて、球場全体の注目を集めた。
「すごいよ、はづきょん」
主将の聖美が嬉しそうに声をかける。
「感心しなくて良いから、点取ってよ。まさみちゃん」
「う~~~ん、取ってあげたいのは山々なんだけどね」
「山々じゃないよ。もぅ、本当に」
葉月は文句を言った。
一方の泉城打線も、ここまで一安打に抑えられているのだ。
「いくらワタシが抑えても、点を取れなきゃ、勝てないよ~」
「分かってるってば」
「じゃあ、延長も見越して、力抜いて投げるから、
しっかり守ってよね」
「あはは、いいわよ。三振ばっかりで、退屈だったから」
聖美は笑って、葉月の肩をポンと叩いた。
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