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少し軽くなった気持ちで家につくと、玄関に見え覚のある靴
「じん…」
曇った思いに切り替わって恐る恐るリビングを覗くと、ソファーに座った仁の背中が見えて、小さな声で
「ただいま」
『あっ、おかえり~』
顔だけ振り向いた仁は笑顔だったから、ホッと肩をおろす
「風呂入ってくる」
きちんと顔を合わすことなく逃げるように去ると、仁の黙って後ろから刺さる視線が痛かった
別にやましいことはしてないんだけど、つい先程まで女性と食事していたことは事実で…
実はその時に仁から電話がかかってきたんだ
いつもなら普通に出るんだけど、久し振りの大人の女性との時間は、楽しくて落ち着けて、安心した
だから、誰といるかって聞かれても面倒くさくて…、バイブが鳴り続ける鞄の中の電話を、気づかないふりして足元に隠した
止まったと思って、安心したら、また何分後にすぐかかってきて、携帯の電源自体を切った自分に
後に最低だと後悔する
なんでだろう…、最近、仁とは上手くいってないわけじゃなかったのに
女性らしい気が利くとことか、人生経験豊富で聞いててために成ることばかりで
それが久し振りに、新鮮だった…のかな?
でも、仁を無視したこと事実は、最低だな俺
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