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J side
―――カツ、カツ、カツ、カツ、カツ
いつもの楽屋で机に頬杖をついて、苛立ちを紛らわすように、手に持っていたライターを無意識にリズムよく叩いていた
周りを見渡せば
上田は中丸と話てるし
田中は音楽聞いてるし、
亀は…、鏡を見ながら髪型を気にしてる
鏡越しに目が合うと、気まずそうにパッと反らして
その態度さえも、頭にカチンときて亀の背中を睨む
俺らの間に流れる重い空気。
さすがに今回は、亀が喧嘩の発端の原因だと思うんだけど
その原因を思いだし、また胸が煮えたぎっていると、
田口が勢いよく入ってきた
入ってきた田口は、すぐさま俺の横に来て、持っていた小さな茶色の紙袋を目の前に差し出す
「はいっ、赤西。ちょっと早いけど誕生日プレゼント!」
「え?」
明るい笑顔の田口……
覚えてたんだ。しかも前々から用意してたなんて、いい奴じゃん
「ありがと」
嬉しくなり綻んだ顔で、受けとる
「そんな改められると、困るんだけどさ(笑)」
「見ていい?」
「見て、見て☆」
リボンも何もかけられてない袋を開けて覗いても、よく分からなくて紐みたいなもんが見えて、取りだそうとした。が
ピンクの丸い固い物体を見た時、
「てめぇ…マジで、ひく。」
好意とは裏側の、からかいの意味が含んだそれに、血の気が逆上して田口を睨む
「マンネリ化した恋人に、いい道具だから。使って!」
相変わらず笑顔の田口。腹立たしさを通りこして呆れた。
「俺がいつ、マンネリ化したつった?てか、お前の家にあったのをプレゼントにすんな!」
「あ、バレてる(笑)」
大体、何で俺なんだよ。そんな気分じゃねーし
当人の亀は、田中と談笑してて、こちらの会話には気にもしてない
俺らはマンネリ化なんてしてない。
いつでも、甘い空間に心をトキめかせて、その淡い気持ちは少しも衰えていない
けど、そう思ってるのは俺だけかもしんないけど。
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