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テーブルにはおれの好物ニンニクギョーザが、フライパンの上でジュウジュウと美味そうな音をたてていた。
妻と娘がじろじろとおれを見ていたが、構わず箸と茶碗を掴み、一人「いただきます。」と言ってニンニクギョーザに手を伸ばす。
「美佳(みか)、今日のニンニクギョーザは格別だな。」
「そう。…ありがと。」
妻は何故か心配そうにおれを見つめる。
「……どうかしたのか?」
「…いいえ。」
おれは首を傾げて味噌汁をすすった。
「お父さん今日何本吸ったの?」
娘がテレビに目を向けたまま質問をする。
テレビにはたばこが身体に及ぼす悪影響について、事例を基に解説する健康番組が流れていた。
「……十本かな。」
「多すぎっ!!」
娘は間髪入れず言い放った。
おれは実際の本数の半分くらいで言ったつもりだったが、娘にはそれでも多いみたいだ。
娘はひとつ溜め息を漏らして、ニンニクギョーザをがつがつと食べ始めた。
「葵どうしたんだ?」
おれは妻に尋ねる。
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