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ケムの大きさは人間のように大きくはなく、手の平サイズの人形ほどの大きさだ。
白い煙の塊だが、お姫様というだけあってドレスのような服に身を包んでいた。
「そんなの、何となくよ。 真司もあるでしょ? そんな感覚。」
「おれは無いよ。」
「つまらない男ね…。」
毎日このような会話ばかり続けては、何かと仲良くなった。
それがおれでも不思議だったのだ。
高校に上がり、彼女ができると急にヤキモチを妬いたり、からかったりしてきた。
煙のくせに、そういうやたらと人間臭いところが可愛く思えたりする。
ケムは、おれが大人になってもずっと出会った時の生意気なお姫様のままだった。
もう今では子守をやってるみたいで、正直相手をするのが面倒臭い。
しかしおれは四十になる歳になっても、たばこを辞めなかった。
辞めてしまえば、ケムに会えなくなる。
それは非日常的過ぎて考えられないのだ。
だが、おれの身体は確実にたばこにより汚染されている。
家族のためにも辞めたほうがいいのだが、どうしたらいいのだろうか……?
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