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朝目が覚めたら、僕はタモリになっていた。
理由はよくわからない。
いつものように目が覚め、布団の中からもそもそと這い出て、
歯を磨こうと思って洗面所に行くと、鏡にの中には小柄な中年のオッサンが立っていたのだ。
最初は誰だかわからなかった。
寝起きゆえに髪の毛はボサボサ、無精ヒゲを生やし
さらにはトレードマークともいえるサングラスを外していたのだから。
それでも、鏡に映る自分の姿をしばらく呆然と眺めていると、
どこかで見たことのある顔だと気付くのに、そう時間はかからなかった。
そして一言、音になるかならないかぐらいの小さな声で僕はつぶやいた。
「タモリだ。。。」
確かにタモリだった。
そこにタモリは立っていた。
いや、正確には「タモリの姿になった僕」が立っていた。
いや、そんな細かい事はどうでもいい。
試しにママが使っているヘアムースで髪の毛をオールバックにし、
パパの持っているサングラスの中から、一番タモリっぽいのを
チョイスしてかけて、自分の姿を確認してみる。
鏡の中、そこには紛れもなくテレビで毎日見る「あの男」が立っていた。
「やっぱりタモリだ。。。」
まったくワケがわからない。どうしてタモリになってしまったのだろう。
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