抑圧

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「お母さんかと思っちゃった」 「ーーーーーー…」 「って、トオル!びしょ濡れじゃない!!」 気付いた夏蓮は慌てて、トオルをドレッシングルームへと引っ張った。 「ほら、早く拭いて。風邪引いちゃう」 そう言いうと自分より頭半分高い透の頭を俯かせ、タオルで濡れた髪を拭き始めた。 驚いて成すがままのの透の目線は、自然と、夏蓮の胸元に落ちた。 もともと色素の薄い夏蓮はその肌も白く、今は湯上がりと云うこともあって、ほんのりと上気していた。 「透ってこんなに大きくなっても、小さかった頃と全然変わってないね」 言葉とは裏腹で、どこか嬉しそうだった。 「ほら、服濡れてるから早く脱がなきゃ」 そう言うと、透のシャツのボタンに手を掛けた。とそこでようやく、透は我に返った。 「いいから…!」 2つ目のボタンを外そうとした夏蓮の手を掴んだ。 「どうして?ほら、ちゃんと…」 「いいから、触るな!!」 「キャッ!?」 掴んでいた手を振り払った。 「トオル…?」 「ごめん。…ありがと」 それだけ言うと、透は足早にバスルームを後にしたのだった。
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