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「………………えっと…トール…今のって………」
「別に…いいんじゃない?」
夏蓮の頭を引き寄せると、そっと撫でた。
「姉弟なんだからさ…」
自分の発した言葉に、ツキン…と胸が痛んだ。
「姉弟…だから……。そ…だね、姉弟…だもん、ね………」
理解したと云うよりは、熱に浮かされただ、繰り返しているだけだった。それでも透の胸が激しく切り裂けそうに悲鳴を上げるに、十分だった。
「…口直しに、ヨーグルト持ってきた。砂糖抜きのプレーンタイプ。姉さん、熱があったら甘い味のモノ、食べられないだろ?」
「あり…がと……。トール…やさし…ね。トールが…弟で、よか…った」
(“弟で良かった”か…。俺の本当の気持ちを知っても、姉さん、そう思える?)
腕の中で寝息をたて始めた夏蓮の寝顔を、透は自虐的な笑みを浮かべ見下ろした。
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