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「○×町じゃなくて、その隣の△△町だよ。坂下先輩の家」
「△△町?あ、でも○×町とは隣でしょ?」
「そっか。夏蓮は引っ越して来て1年ちょっとだから、知らないんだ。あのね夏蓮、△△町は確かに○×町の隣だけど、夏蓮がいつも乗る路線だと、遠回りなんだよ」
「嘘…。どうしてそんな…」
「それは…多分、夏蓮と同じ時間を共有したかったからでしょ?」
「ーーーーー…(そうなの?そんなふうに見えなかった…ううん。わたしが知らなかった、気付かなかっただけ?)」
「…ごめん。そんなふうにさせるために言ったつもりじゃなかったのに」
ベッドに視線を落とし黙り込んでしまった夏蓮に、泉が優しく言った。
「夏蓮って美人なんだけどちょっとおっとりしてるから、心配だったんだよね。夏蓮のこと好いって言う男子、多いんだよ。でも夏蓮、全然気付いてないって言うか、見てない?まあ、それは夏蓮にその気がないだけのことかも知れないんだけどね。ただ坂下先輩は本当に良い人だから…ちょっと気になったんだよね」
「うん…坂下センパイが良い人なのは知ってる」
心遣いが嬉しくて、夏蓮から自然に笑みが漏れた。
「じゃあさ、坂下先輩から付き合って欲しいって言われたら!?」
涼子が身を乗り出し、菜緒はそれを興味津々とばかりに聞き耳を立てる。
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