偽りの国

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 「ご丁寧にどうも。」  「どうも初めまして。」  「…………。」  二人と一匹はお辞儀で返した。  「申し訳ないとは思いながらも、あなた方のお話を聞かせていただきました。それで、あなた方は旅の方でこの国に移住も考えていらっしゃるのですね。」  「えぇ。私たちは安寧の地を求めて旅をしています。この国はなかなか良い雰囲気なので、もう少し滞在して色々調べたいと思っております。」  「…………おなかすいた。」  ティーはインゲン豆のソテーらしきものを食べようとしていた。  「…もう少し我慢してください。」  陸はティーを制した。  「……ぶー。」  ポカポカポカポカポカ。  「痛いです。」  やはり笑顔で言う。  そんな和やかな光景を見て、シティは、  「かわいらしいですね。」  「そうですね。私もそう思います。」  シズは同意した。  「彼女たちのことを本当に大切に思うのであれば、この国に移住するのはやめるべきでしょうね。」
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