偽りの国

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 シズたち(二人+一匹)は町の一角にある食堂にいた。  「だが、この前立ち寄った国(キノの旅Ⅴ「のどかな国」)のように、何かあるといけないから、二・三日滞在して様子を見よう。」  「……?」  「シズ様、ティーは……。」  「あぁ、そうだった。ティーには話していなかったね。」  「(コクッコクッ)」  「ティーと会う前に、陸をわたしはある国へ行ったんだ。長閑で平和なとても良い国だと思ったのだけれど、その国は突然地面に穴があいてしまう国だったんだよ。とても安心して暮らせるとは思えなかったから、すぐに出国したんだ。」  それを聞いたティーは少しだけテーブルに身を乗り出し、  「それからわたしとであった……。」  「そうだね。その後あの船の国で、ティー、君に出会った。」  「あの時はキノさんにもお会いしましたね。」  「あぁ、そうだったな。キノさんとエルメス君にとも偶然再会できた。今ごろ彼女たちはどんな国にいるのだろうね。」  話が一区切りついた時、タイミングを見計らったかのように料理が運ばれてきた。独特なにおいが辺りに広がる。
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