小話

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軍部。それはいわゆるエリート集団だ。俺たちが属する集団の派閥の中で。 軍部の上層部、その直下にいる一斑は、エリートの中のエリートってことだ。 マスターも軍部のやることには何も言わない。言えないんじゃない。結果が全て、利として返ってくるから。 集団のメンバー全て、マスターを嫌いな奴なんていない。どんなやつであれマスターを大切に思っている。 だから、マスターに迷惑をかけようなんて奴もいない。 マスターが何も言わないのは、自分で決断を下す必要がないほどであるから。 集団の憧れ、軍部。俺にはとうてい遠い場所。 の、はずだった。 「すみません、宜しく、お願いします」 なんで一斑に?俺なんて、ただの色違いアメモース。ナイナイナイ。 一斑に入る方法は二つ。軍部の上層部の命令か、一斑の誰か直々のお声掛け。 俺は後者のほう。色違いドクロッグの秘色(ひそく)さんからお声をかけてもらった。 断わりたいが断われるはずもない。残念ながら俺には、このエリート集団の逆らう勇気は無かった。 軍部の一斑は皆、美形ぞろい。そして良くも悪くも超個性的。と、聞いている。 三白眼で美形とは程遠い容姿の俺は、ぶっちゃっけ行きたくない。一緒にいたくない。 「あぁ、お前が緑慈(ろくじ)?ふぅん、おい、秘色!きたぜ」 あれは華艶(かつや)さん、だよな?うわ、何あの人、きっれー。 肌白いなー、睫長い。ほせぇー。女性にも見えそう。 イヤイヤイヤ、つか、あそこにいるのって蒼誑(あおあざき)さん?黒刎(くろはね)さんに揺地(ようじ)さんまでいる! 普通ならあえねぇもんな、やっぱり、ここ、一斑なんだよなぁ・・・。 「よく来たな、今日からヨロシクな?俺のことは蒼でいい」 「はっ、い!!!ア、オさん!!」 「そうカタくなんなって。今日は仕事の予定もないし、ゆっくりしてればいい」 透けるような薄い青の髪。緑青色の瞳にすっげぇ惹きつけられる。 やだ!なにこの美形ぞろい!
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