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十歳までは、世間的に一般的な幸福の中生きてきた。
名高い軍医であった両親は俺の誇りであったし、幼いながらも多少覚悟のような何かはあったのだ。
両親が死んだ時は泣いた。泣き疲れるまで泣いて、後は泣かないように堪えていた。
天国にいる両親を心配させまいという、子供なりの考えだった。
俺は伯父に預けられることになる。
裕福だったと思われる生活は更に裕福なものとなる。大手企業の社長の息子となったのだ。
子供がいなかった、いや、そもそも妻すら持たなかった伯父は俺を可愛がった。
夜が明けるたびに傷は増えていく。夜に伯父が俺に施すことは、十歳の子供にしてはいけないことだ。
精通を終えたばかりの身体に刻み込むには、あまりにも度が過ぎていた。
どこか手馴れているような一連の行動を、俺は今でも鮮明に覚えている。
伯父はペドフィリアだったのかもしれない。だから妻という存在がいなかったのかもしれない。
賢い子供であろうとした。学校では常に一番でありたかった。
これ以上伯父に虐められたくないという恐怖ゆえか、それとも、伯父に好かれたかったのか。
俺のことであったのに、それは今の俺には分からない。子供の俺が、何かのためにそうしていた。
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