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「じゃ。行って来ます」
「行ってらっしゃいませ」
受付嬢コンビが、とびきりの笑顔と斜め45度の最敬礼で見送ってくれる。
力を尽くし続けてきたこの仕事を、本当に誇りに思えた。
外に出ると、いつもの場所に見慣れたトラック。
聖だ。
「おう。なに、今日は営業?」
明るい大きな声。
いつも安心と元気を貰っていた。
「ちょっとね。出張!」
同じ温度で、つとめて明るく軽く返す。
「そっか、珍しいな。頑張れよ」
「うん。
──ありがとう、聖」
ありがとう。
言葉の意味は、ちゃんと通じたみたい。
手を挙げて笑ったあと、
「俺も来週でラストだから、飯でも食いに行こ」
初めてジムで会った日みたいに軽く返して、走って行った。
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