来訪者

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  「ねえ──ねえ谷口さん」     一緒にいた社員…たぶん彼より先輩なんだろう、少しぎょっとした顔でこちらを見ている。   その先輩が制止するより早く。 「──今日俺たち飲みに行くんだけど、一緒に行かない? 早坂さんも良かったら」   ……なるほど、話し方からするに年下に見えたのかな。私が。 誰だか、知らないけど。   顔には出ていないはずだけど、後ろの先輩社員が、強張った顔のまま私と彼を見ているのがわかった。      「ごめんなさい、私も早坂さんもちょっと予定があるから……また今度でもいいかな?」 笑顔を作り、小さく首を傾けて適当な嘘を答える。 先輩がその隙間に入り、 「──早く行くぞ」   なにごともないふりをして、彼を連れて行ってくれた。   .
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