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「29さいぃ!? 嘘でしょ」
テラスから、先程の彼の大きな声が聞こえて
反射的に胸がきゅっと締まった。
「馬鹿、声でかい。で、しかも聞いた話だけど谷口さんって……」
「えええええええっ! ……うわー、イメージ違いすぎ……」
「だろ?だから──……」
──よくご存知なもので。
あの反応からすると、もう誘わないでくれそうだ。
彼らが戻る時を見計らって、受付から離れようかな。そう思った時、後ろから歌うような声がした。
「藍さん。おはよーう」
「おはよ、ルリちゃん。ちょっとスカーフ直してくるね」
『ミツフジ不動産 受付
早坂 ルリ』
小さなネームプレートをつけ直しながら、彼女はにっこりと笑って見送ってくれた。
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