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ここは不動産会社の受付。
受付業務は時間帯や来客予定によって、2人か3人のチームを組んで応対する。
秘書課の社員と、派遣登録している専門のスタッフで構成されていて、私は社員、早坂ルリは派遣社員だった。
同い年の29歳で、おっとりしたお嬢様だけど思い切りが良く、考えすぎる私をいつも助けてくれるので、一番頼りにしている。
「久し振りだね、藍さんと一緒だと安心しちゃう。先週は沢村さんとペアが多かったんだけど、ガムシロ切らしちゃって」
「あの子また発注ミスったの…」
「来客誘導は上手になったと思うんだけどねえ。ちょーっと抜けてるわね」
「まあ飲み込みはいいと思うし、一生懸命だし。都度声かけてあげるしかないね」
ルリがトレードマークの内巻きヘアを揺らして頷いた。
私より10cm以上背が高いので、並ぶと少し見上げる形になる。
「あ、新卒の子も一緒だったの。藍さん、一度ペアになった?」
「川合さんだっけ。あ、この前の風邪ひどかった日に半日だけペア組んだよ」
「そうだったのね。藍さんのことさ、『可憐』って言ってたよ」
「かれんん?」
いたずらっぽく笑うルリが話を進める。
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