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スーツ姿の男性が自動ドアの向こうに現れたのを見つけ、私たちは姿勢を正した。
「いらっしゃいませ」
「おはようございます。田川部長と約束していた、原澤といいます」
ドアから一緒に入ってきた風が、来訪客の黒い髪をさらさらっと揺らす。
「原澤様ですね、お待ちしておりました。営業開発部の田川とお約束でしたね」
話しながらルリをちらりと見る。
既に応接室の確認が済んだようで、目で合図を返された。
こういう連携が一番スムーズに行くのがルリだ。
「すぐご案内いたしますので、こちらへお名前をご記入いただけますか」
『guest』と書かれたネームプレートとゲストブックを差し出すと、彼は鞄を足元に置いてペンを取った。
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