空白

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まだ肌寒い風が吹きながらも、窓からは暖かい陽気が部屋に差し込んでくる。 「今日から春休み…満喫しよっと」 昨日終えた卒業式を思い出しながら、再びベッドに潜り込む。 俺は獅子戸慧一。中学生とも高校生とも言えない、微妙な時期の15才だ。 二度寝なんて久しぶりだぜ。あ~、幸せ。 「慧、早く支度しないと遅れるわよ」 …ノックくらいしろよ。 「どこに行くんだよ?聞いてないぞ」 「何言ってるのよ。今日は高校の入学式でしょ」 「はぁ!?」 何言ってるんだよ?昨日卒業式で今日入学式なんて有り得ないだろ。 「何ボケてんだよ。入学式は3日だろ」 「アンタこそボケてるの?カレンダー見てみなさい」 俺は意味不明な母親に見せつけてやろうと、携帯のカレンダーを見た。 「4月…3日!?」 「分かったらさっさと支度しなさい」 …な、何が起きたんだ!?そして…俺の春休みはどこに!?
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