空白

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「え?ち、ちょっと…」 俺がちょっと素っ気無く言って背を向けると、春華はかなり困惑しているような声を出した。 「え?え?」 里奈は……キョドってますね。あんなに忙しく首振ってよく目回らないな。 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 「…何?」 「す、素直じゃないわね…本当はなって欲しいくせに。しょうがないから、なってあげるわよ」 …素直じゃないのはお前だよ。最初はもうちょっと慌てる所が見たかっただけだけど…こうなると、意地でも言わせたくなってくるな。 俺は内心笑いたいのを我慢して言った。 「いえ、結構です。それじゃ」 俺は黒板に書かれた座席表を確認し、その席へと向かった。
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