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「来ないでなんて…」
真紘は堪えていた涙をポロポロ零しながら言った。
昨晩の事だった。
スケジュールを調節して、春奈の入学式に出席するスーツを購入までしていた。
「春ちゃん、明日ママこのスーツで行くね。」
柔らかなピンク色のスーツを娘に見せながらはしゃぐ真紘。
春奈は小さく溜息をつくと言った。
「悪いけど、明日は来ないでくれないかな!」
最近口数が減って、元気がないと心配していた矢先。
「どうしたの?」
優しく尋ねた。
「別に…」
そう言って雑誌に視線を落とす春奈。
真紘はこの光景を昔見たような気がしていた。不思議な、それでいて胸が締め付けられるような感覚。
そう…真紘も、今は亡き母と、こんな会話をした事を思い出していた。
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