春奈への手紙

5/5
前へ
/452ページ
次へ
本当は、嬉しくて仕方なかった。 社長にも、春奈ブランドの店を出すか! そんな意見も出たが、春奈は笑ってごまかした。 女優を片手間にデザイナーをするのは、春奈には考えられなかった。 実際たまたまヒットしたが、そんなに甘い世界ではない事を春奈はよくわかっていた。 やるなら留学して、基礎からやりたかったが、現実そんな事は出来ないと思っていた。 スケジュールは半年先まで詰まっていた。 応援してくれている人を裏切り、自分の気持ちに正直に生きるのは、とてもではないが出来なかった。 そんな春奈の心中を、祖父は見抜いていたのだろう。 春奈はスッキリとした気持ちで、祖父を見送る会の支度へ戻って行った。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

583人が本棚に入れています
本棚に追加