583人が本棚に入れています
本棚に追加
祖父が他界してから半年が過ぎた。
店はかなり繁盛していた。
春奈はあれからも毎日を忙しく過ごしていた。
祖父からの手紙によって、自分のありのままの気持ちを素直に話すようになってからは、前よりも肩の力が抜けて、明るく前向きになれた春奈は、よりいっそう輝きを増していたが、今日の仕事を最後に女優を休業することになっていた。
どうしても服飾の仕事をしたいとの気持ちを抑えられなかった。
女優をしながらも店をだしている事は珍しくはないが、春奈はきちんと基礎から学びたかった。人任せにするくらいなら、最初から店を出すつもりはなかった。
突然の春奈の申し出に、事務所サイドはなかなか許しを出してはくれなかった。
だが春奈の決意が固いとわかると、引退しないのを条件に許可してくれたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!