序章 白き薔薇は朱に染まる

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「史人ー、依頼在った?」 黒いカーテンにいくつかのテーブル、椅子。 壁にある棚にはアンティーク人形。 そんな喫茶店の店内に一人の少女が居た。 「白鳥女学園三年二組 小野寺美紀」 奥から出て来た少年史人は少女に書類の束を手渡す。 「ふーん。遺産絡みの依頼かー」 つまらなそうに書類を見て少女は花瓶から一輪の薔薇を取った。 「女子校か…史人も来る?」 少女は悪戯っぽい笑みを浮かべ史人に訊く。 「馬鹿、誰が行くかよ」 呆れたようにそう言い、少女の頭を小突く史人。 「だよねー」 そう言い少女は笑みを浮かべ立ち上がり、鞄を手に取る。 「それじゃ、私は行くけど…浮気…しないでよ?」 史人を見つめ、そう告げる少女。 「…あんまり帰りが遅いとするかもな」 史人はそう言い少女にそっとキスをし、 「それが嫌なら、早く帰って来い…」 と囁く。 「りょーかい。行ってきます、史人」 そう言い少女 野薔薇は外へと続く扉を開けた。
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