1章 夢の始まり

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冬の到来を感じさせる冷たい風が吹き荒れる。 しかし、そんな風でさえも今の自分には何とも感じられないものとなっていた。 それは決して気分が滅入っているからというわけではない。 これから起こるかもしれない奇跡に心が高揚して、心ここに有らずといった状況になっているわけである。 寒さを感じると痛みを訴えだす左膝の痛みも、今は全くといっていいほど感じられず、綻ばせかけていた顔を引き締め香政大のチームメイトが待つ場所へと歩いて行った。 しかしここ、昭和記念公園は1年のうち1番と言っていいほどの混雑を見せているゆえ、人を探すにも、目的地へ辿り着くのも一苦労と言える。 選手や監督だけでも相当な人数なのに、それに加えOB会やマスコミ関係者が多く陣取っているので仕方ないことではあるが。
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