9659人が本棚に入れています
本棚に追加
今健志さんの目を見てしまったら…………
彼の言葉で、俺がどれだけ動揺しているか、すぐに見透かされてしまう。
そうなる前に、とにかくこの場から、一分でも一秒でも早く立ち去りたかった。
健志さんの言葉に俺は無反応を決め込み、重なっている手を振りほどこうと……
「そんな下手くそな芝居で、俺を騙せると思うなよ」
言葉と共に強い衝撃が俺を襲った。何が起こったのか理解した時には……俺は壁に押し付けられていた。
「誤魔化せないって事を教えてやるよ」
唇から捩込まれた生暖かい感触で、俺はやっと彼の唇に口を塞がれている事に気付いた……
抵抗しようと試みたが、体に力が入らない。
それどころか……俺の中の欲望は、貪欲にその感触を求めていた。
俺はどうしたんだ？
朦朧とする意識の中、必死に考えたが…………
答えなんて見付からないまま、俺は本能のままに彼の唇をただ受け入れていた。
「もっと大人になったら相手してやるよ」
耳元で囁かれた甘い声に、俺は背筋がゾワゾワとした。
最初のコメントを投稿しよう！